イベント写真集>常設展>最果ての地・水軒をたずねて(その1)
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まずはじめに〜水軒駅の概要
水軒駅は南海本線(正式には南海和歌山港線)の終着駅で、鉄道ファンの間では非常に?有名な駅です。
この駅が所属する南海和歌山港線は、昭和31年に和歌山市〜和歌山港間が開通しました。(ちなみに、現在の和歌山港駅は水軒延長の際設置された駅で、以前の和歌山港駅は今の築港町駅でした。)
その後、当時和歌山県の水軒に貯木場を設けて鉄道で木材を輸送しようという計画があり、和歌山港〜水軒間の延伸が計画され、昭和46年に同区間が開通しましたが、結局貨物輸送は実現せず、一日二往復の旅客輸送のみが残るだけとなりました。
前述のとおり、和歌山港〜水軒間は一日二往復しか運転されておらず、水軒駅自体も不便なところにあるため、一日の輸送人員は数名程度しかなく、付近の住民の利用は皆無に近い状態です。
一日数名の利用しかないとなればすぐにでも廃止されそうですが、実は、築地橋〜水軒間の線路は和歌山県の所有で、南海は線路を間借りしている格好となっています。
南海側としてはすぐに廃止したいと思っていたかもしれませんが、和歌山県側としてはせっかく線路を敷設したにもかかわらず、このまま廃止とすると格好がつかない…ということで存続していました。
しかし、近年沿線付近の道路の混雑や踏切により、渋滞が発生。今年2月に水軒〜和歌山港間の廃止届が提出され、2002年5月25日の運行を持って廃止されました。

南海なんば駅の料金表にはこのような表示が書かれています。
実際に案内係の方に尋ねてみましたが、快く教えてくださいました。
なお、なんば駅からの時刻は…
なんば08時12分(急行・和歌山市行き)→和歌山市09時16分(普通・水軒行き)→水軒09時26分着
なんば14時02分(急行・和歌山市行き)→和歌山市15時20分(普通・水軒行き)→水軒15時30分着

水軒発の時刻は…
水軒09時32発(普通・和歌山市行き)→和歌山市09時42分着
水軒15時36発(普通・和歌山市行き)→和歌山市15時46分着
でした。
和歌山市駅の中間改札口です。
和歌山港線では、和歌山市・和歌山港以外の駅では駅員どころか改札機なども設置(配置)されていないため、ここで各駅の改札を受けることになります。
なお、和歌山港線は「スルッとKANSAI」対象エリアですが、改札機未設置駅へ行くには精算機で切符に引き換える必要があります。
また、改札機未設置駅相互間(久保町・築地橋・築港町・水軒)ではカード類は使えず、車内に設置されている運賃箱で精算します。
駅員未配置駅からの乗客のために設置されている乗車証明書発行機です。
久保町・築地橋・築港町・水軒の各駅のボタンを押すと、乗車証明書が出ます。
出てきた乗車証明書を改札機に入れてから着駅で精算するか、乗車証明書とカード類を2枚重ねて改札機に投入することにより入場記録が記録されます。
和歌山港線のワンマン列車に取り付けられている料金箱です
和歌山市・和歌山港以外の駅では駅員・改札機共に設置されていないため、これらの駅では各自料金や乗車券を入れる仕組みになっています。
この運賃箱は取り外し可能な設計になっており、他の列車にと取り付け可能です。
この日(1/27)に充てられていた7195F(#7195-7969)
以前は1521系や「ズームカー」と呼ばれる21000系も使われてましたが、支線区のワンマン化に伴い、7100系や2200系のワンマン対応車が使われています。
水軒駅の駅名標です。
以前は下の方に「お買い物は高島屋で」の看板がついてましたが、現在は同看板がはずされ、和歌山市駅への連絡先が書かれてました。
ホームから和歌山市方面を撮ってみました。
隣は留置線で、貨物輸送に備え敷設されたのですが、結局貨物輸送には使われませんでした。
しかし、この留置線は2回だけ別の目的で使われたことがあり、貴志川線の旧型車両(1201系)の廃車・解体が2回にわたってここで行われました。
この留置線をよく見てみると、同車両の"かけら"らしきものも残ってました。
今度は反対側です。
行き止まり構造で、線路の向こう側は道を隔てて運河が流れています。
左側の柵は鉄製のものになってますが、数年前まではベンチ同様木製の柵となっていたようです。
ホーム下です。
前述の木製の柵を撤去したものが、束ねて置かれてました。
水軒駅の出口?です。
駅舎は無く、階段を降りた所にトイレがあり、ここに運賃表・時刻表などが掲げられています。
駅構内は獣道(けものみち)状態となってます。
時刻表です。
見てのとおり一日二往復しか設定されていません。
15時の部分にご注目ください。この案内板には36分発とかかれてますが、文字が消えかかっており40分発(ダイヤ改正前の発車時刻)とも見えます。
何も無いように思われがちの駅周辺ですが、国指定の文化財「養翠園」があります。
また、養翠園の他に「水軒渡船」という渡し舟ののりばがあります。
ちなみに、水軒渡船は休業中、養翠園は有料だったため、今回の取材は断念しました。
駅から少し歩いたところにある、養翠橋です。
水軒川にかかる橋で、近くには漁船の発着場があります。
養翠橋からもう少し歩くと、写真のような道に出ます。
「養翠園」の看板のすぐ後ろにJR和歌山駅・南海和歌山市駅行きのバスが発着しています。
バスの本数は、おおむね1時間当り1本で水軒駅からの終電を逃しても当日中に市内に戻ることが可能です。
4月に南海の各駅に貼り出された、和歌山港〜水軒間の廃止を告知するポスターです。
こうして見ると本当に終焉が近いことが実感してしまいます。
最初の取材から数ヵ月後、もう一度水軒駅を訪れてみました。
駅名標が簡易型のものに取り替えられていましたが、それ以外には目立った変化はありませんでした。
あえて言うとすると廃止を惜しむファンが平日(午前便)にもかかわらず20名程度の人出がありました。
なお、後で調べてみると、簡易型の駅名標は盗難防止のためだそうで、4月に行われた「サザンで行くなんば〜水軒ツアー」で旧型の駅名標に取り替えられたそうです。
5/25水軒駅の営業最終日の様子です。
最終日は終電以外の列車で角型の行き先版が取り付けられ運行していました。
この日は定期列車のほか、10〜14時まで一時間間隔で臨時列車が運行されていました。
定期列車の2本はワンマン対応車(#7190-7197)、臨時運転の5本は非ワンマン対応車(#7155-7139)が使用され、始発列車以外はすべてツーマン運転でした。
前回の訪問時には駅名標が簡易型のものに取り替えられていましたが、この日は簡易型のほかに従来の駅名標もあわせて掲げられていました。
従来の駅名標は電車と一緒に写るようにホームの端のほうに設置されています。
和歌山港線ではワンマン運転を行う都合上ホームにミラーが設置されていますが、すでにミラーは取り外されています。
駅前の駐車場の様子です。
記念入場券や行き先版のキーホルダー、飲み物や弁当の販売も行ってました。
これが廃線の一因となった踏み切りです。
踏み切りが降りたとたんに、周辺は渋滞します。
水軒方面から和歌山市内方面へは対抗車線をふさぐ形になり、これが元で交通事故等もしばしば起こっていたそうです。
水軒駅のホームにはこのような張り紙がありました。
あらかじめ乗車制限があるのは予想していましたが、やはり特定の列車では積み残しも出ていました。
最終ランナーを務める7190F(#7190-7197)です。
営業部によるセレモニーが行われ「さようなら 和歌山港〜水軒間」のサボが取り付けられ、満員の乗客を乗せて和歌山市駅を後にしました。
終電到着直後の水軒駅です。
すでに乗車制限が行われており、車内放送で「停車時間は6分です。ホームからお降りになられた方はご乗車できません」といった案内もありました。
和歌山市駅に到着した、水軒折り返しの和歌山市行き最終電車です。
この列車は折り返し和歌山港行きとなりますが、発車直前まで「さよならサボ」が取り付けられ、行き先幕も「和歌山市⇔水軒」のままでしたが、発車直前には所定の「和歌山市⇔和歌山港」に変えられ、サボも取り外されました。
「さよならサボ」は2種類あり、前部車両と後部車両で違うものが取り付けられましたが、撮れなかった人のために2種類とも和歌山港線ホームで撮影会が行われました。
水軒駅の廃止・本線泉佐野駅の高架切り替えの関係でこの翌日(5/26)にダイヤ改正が行われました。
今回の改正は一部列車の修正だけなので、改正部はシールで貼っているだけでした。
中間改札口設置の精算機の画面です。
水軒行きの終電後は「水軒駅への乗り継ぎはできません」と画面に出るようです。
※水軒発和歌山市行きの最終列車に乗車中、和歌山港駅周辺に保線係の方がいらっしゃいました。
他の方の話によると終電発車後すぐに水軒駅の出発信号の灯が落とされ、踏み切りも撤去されたようです。
また、水軒駅周辺にはバスが走っていますが、こちらも満員だったようです。




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